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2019年11月18日

福島原発千葉訴訟第1陣 控訴審 第5回口頭弁論期日のご報告

福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された17世帯43名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第3部は,平成29年9月22日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。

 

 

福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第5回口頭弁論期日が,令和元年10月11日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。

 

 

傍聴席は,空席が目立ちました。 

 

 

第5回口頭弁論期日では,今回提出した書面の概要を口頭で説明するため,弁護団員3名による意見陳述を,以下のとおり,法廷で行いました。 

 

 

弁護団員が法廷で陳述した意見の概要は,以下のとおりです。

 

 

〇国の責任論(第14~第21準備書面及び第23準備書面) 意見陳述

 

・本控訴審での最大の争点は,敷地高さを超える津波に対する予見を基礎付ける知見-本件では「長期評価の見解」-が,「津波により原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合」を基礎付けるだけの地震学上の「客観的かつ合理的な根拠を有する知見」かどうかの判断に尽きる。

 

 

・津波地震が付加体の存在のような特殊な海底構造を有する領域のみで発生するとの見解が支配的だったとの事実は存在せず,国の主張によって,「長期評価」の領域設定の合理性は何ら否定されない。今村証人は「長期評価」に疑問を呈するものの,その見解を述べるだけの適格性がない。津波評価技術策定の主要な目的は,津波推計手法の確立であり,個別の地震について検討はせず,津波地震の発生可能性ももとより議論をしていないことを明確に認めている。長期評価の見解には客観的かつ合理性な根拠があることは揺るがず,一審被告国の主張ではこれら合理性は何ら否定されない。

 

 

本件事故を防ぐことができなかった国の責任の「分岐点」は,この2002(平成14)年8月の杜撰な保安院対応にあったものである。これこそが本件事故を防げなかった国の責任の核心ともいうべき事実であり,「長期評価」に基づく予見可能性を認める以上は,この核心ともいうべき保安院対応の適否が正面から判断されなければならない。原子炉施設の安全性の確保のためには,最新の科学技術水準への即応性を確保するために,不断の検証が求められることからすれば,8年半余の期間を無為に過ごした保安院の規制対応は著しく不合理なものといわざるを得ない。

 

 

〇損害論(第22準備書面について) 意見陳述

 

 ・昨年10月25日に開かれた国連人権理事会において。有害物質の管理・処分を担当する特別報告者であるバスクト・トゥンジャク氏は,本件原発事故により避難した子供や妊娠可能な年齢の女性は,年間の被ばく線量が1mSvを上回る地域への帰還を見合わせるよう求める勧告を公表しました。

 

 

・一審原告らの避難行動は,こうした国際的なルール等にも合致するものであり,単に漠然とした不安感に基づくものではなく,極めて合理的な行動であると評価できます。

 

 

〇損害論(令和元年6月24日に実施された現地進行協議の結果を踏まえた主張書面) 意見陳述

 

・本年6月24日,裁判官,一審原告ら訴訟代理人,一審被告両訴訟代理人及び関係一審原告本人が参加し,現地進行協議が実施された。 

 

 

・本件原発事故から8年以上が経過した現在においても,飯館村や南相馬市小高区など避難指示が解除された地域でも放射性ゴミのフレコンバックの山が続き,駅前など中心街も虫食いで現実に帰還した住民は10%前後に留まっている。さらに,浪江町の帰還困難区域では人の営みのない廃墟と化し,人の住むことできない状態がその収束も見通せないほど悪化し続けるなど,いずれも被告らの主張する明るい復興とは全く程遠い状況が確認できた。

 

 

・裁判所におかれては,8年経っても何ゆえに,一審原告らを始め人々は帰還できないのか,喪われたふるさとの実情を踏まえたその被害の大きさに見合った損害を判決で認定されるよう求める次第である。

 

 

 

 

なお,東京電力と国は,意見陳述を行いませんでした。

 

 

 

次回,福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第6回裁判は,令和元年11月29日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれる予定です。

 

 

 

なお,今回の控訴審第5回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の報告集会配布書面をご覧ください。

 

 

191011 報告集会配布書面

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