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2021年07月20日

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審) 第6回口頭弁論期日のご報告

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された6世帯17名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第5部は,平成31年3月14日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。現在,福島原発千葉訴訟第二陣の審理は,千葉地裁から,東京高等裁判所第16民事部へ移っております。

 

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第6回口頭弁論期日が,令和3年7月14日(水)午前11時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。

傍聴席は,新型コロナウィルス感染対策防止のため,数に限りがあったものの,ほぼ満席でした。

 

第6回口頭弁論期日では,弁護団員2名が,一審原告の方々が今回提出した書面の要旨を,合計20分程度かけて,法廷で説明しました。以下は,弁護団員2名が法廷で説明した内容の概要を記載したものです。 

なお,東京電力と国は,いずれも意見陳述を行いませんでした。

 

 第21準備書面(東電プレゼンに対する反論を原告らの想い)

※当日は,提出した第21準備書面の内容を全て読み上げましたが,本HPにおいては概要に留めます。

・東電代理人が前回4月21日口頭弁論期日にて行ったプレゼンテーションについて、原告ら代理人として以下、反論する。

・東電の当該プレゼンの中身、特に資料1のグラフを掲げて、中間指針による支払額が原告ら原発被害者の実損害を超えるものであるとの指摘は、いずれも証拠に基づかない意味不明のものであって、それを法廷で滔々と展開したのは、史上最悪の原発事故の甚大かつ未曽有の被害の実相を糊塗し、裁判所をことさら誤導するようなイメージ操作であると強く抗議する。

・許されないのは、現に約1万数千人もの原発被害者が全国30以上の各地裁で同種裁判を提起し、これまで8年以上に亘って苦難の訴訟活動を余儀なくされている現実から目を背け、「訴訟提起者は、わずか0・8パーセント」と声高にうそぶくその訴訟態度は、あの世界最悪の原発事故を引き起こした加害者としての自責の念を放擲したものしか言いようがない遺憾極まりないものである。上記現実の原告の数は、決して「僅かなもの」ではなく、辛い避難生活における幾多の労苦や経済的負担、さらには訴訟当事者としての心理的負担をも敢えて引き受けてまで原告となった人々の苦渋の心情を慮るならば、到底、そのような侮辱的なプレゼンは許されるべきでない。

・前回東電代理人によるプレゼンのトーンは、中間指針によって賠償金を受け取った原発被害者は、その賠償額を十分なものと満足して受領しそれ以上のものを求める意思を持たない人たちであると断定しているに等しい。しかし、実際は、その中間指針による賠償額は加害者である被告らが拙速にかつ一方的に定めて、やおら、「これを支払うから請求するならしなさい」と被害者に一方通告で支払っているものに過ぎず、原発被害者としての意見や反論を封じるばかりか個々の被害実態や避難生活の苦悩を一切取捨して一律に低額通告しているものであることは厳然たる事実である。これをもって、訴訟提起しない原発被害者が東電の支払いに応じたことで満足しているなどという実態調査結果はもちろん存在する筈もなく、本訴訟でもいかなる根拠資料も示されていない。当然ながら、中間指針の支払いに満足している原発被害者など一人もいないと、全国で裁判を闘う原告らは確信している。今般の東電プレゼンは、裁判を提起しているものがごく一部の我儘な人々であると言わんばかりの中傷に等しく、いかなる証拠や客観的根拠にも基づかないもので、苦渋の選択の結果敢えて司法の場に問題提起をした原告らや、百数十万人の声なき原発被害者の心情を著しく傷つけるもので怒りを禁じえない。

・東電は、廃炉資料館の反省の弁や、三つの誓いで示した「寄り添う」という言葉の真の意味を今一度は深いところから見つめなおすべきである。これまで原告が本件証拠資料によって立証したとおり、原告らは、本件原発事故によって拡散した放射能の恐怖と不安から自己と家族を守るために居住地から全く突然に避難することを強いられた何らの落ち度もない被害者である。その避難の経過や今日まで続く避難生活の中で、まさに生命と健康への見えざる不安に苛まれ、自己や家族にこれからどのような未来が待っているのかその先の見えない現実との闘いも強いられていることは何度でも指摘しておく。裁判所におかれては、前回東電プレゼンのあからさまな印象操作と誤導に惑わされず、原告ら原発被害者の心情に寄り添った真実の裁判を切に希求する。

 

 第22準備書面

・第22準備書面においては,獨協医科大学准教授・木村真三氏の意見書に基づき,放射線被曝,なかでも低線量被曝の人体に対する影響について論じています。木村氏は放射線衛生学を専門としており,長年にわたりチェルノブイリ原発事故後の現地調査に携わってきた他,本件原発事故の直後にはいち早く被災地に駆けつけ,福島県浪江町津島地区において住民の初期被曝の調査を実施するなど,放射線による健康被害に取り組んできた実績をお持ちです。

・内部被曝や累積被曝を含め,低線量被曝による健康影響については,理論的にも,実際的にも,十分に解明されてはいないのが現状であるといえます。

・国や東電が主張するとおり年間100mSvまでは「安全」だとしても,年間20mSvだと5年で累積被曝は100mSvに達します。仮に,ICRPが主張するとおり低線量被曝のリスクは半分だとしても,10年で線量は100mSvを超えます。この100mSvは健康被害が統計的にも有意に現れる数値であり,危険性を否定することはできません。

・本来,国は,事故後直ちに正確な被曝線量を測定すべき責務があったにも関わらず,初期被曝の調査を実施しませんでした。そのため,原告らにとっては,避難するまでに自らがどれだけの線量を被曝したのか,全く分からない状況にあります。このような情報の空白等の状況下においては,原告らが放射線被曝に対して強い恐怖や不安を抱くこともやむを得ないと言えます。したがって,原告らが被ばくを避けるために避難したことには合理性があると言うべきです。

 

 

 

次回,福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第7回裁判は,令和3年9月22日(水)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれる予定です。

 

今回の控訴審第6回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の書面をご覧ください。

210714 第6回 控訴審のご報告

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