トップ>福島原発千葉訴訟第1陣 控訴審 第6回口頭弁論期日のご報告
2020年01月30日
福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された17世帯43名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第3部は,平成29年9月22日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。
福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第6回口頭弁論期日が,令和元年11月29日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。
傍聴席は,概ね埋まっていました。
第6回口頭弁論期日では,これまで同様,今回提出した書面の概要を口頭で説明するため,弁護団員4名による意見陳述を,合計30分程度かけて,以下のとおり,法廷で行いました。
弁護団員が法廷で陳述した意見の概要(※「個別損害第2準備書面(原告番号8,10,17)」については,本ホームページ上で,概要を記載することにつき,割愛させていただきます。)は,以下のとおりです。
〇責任論 結果回避可能性について
・水密扉でなかったにもかかわらず、1号機から3号機においては大物搬入口の扉が閉じていただけで4号機との被害状況に大きな差がでていたのであるから、仮に水密化対策がなされていれば、建屋内への浸水、さらに重要機器室への浸水を防ぐことが十分に期待できたことの証明といえる。
・浸水深を2mとして朝倉式を適用すれば、今村氏が算出した本件津波の波圧を上回るシミュレーション結果となり、津波被害を防げるだけの防護措置を取り得た可能性がある。
・2002年試算に基づき、津波防止対策に真剣に取り組んでいれば、防潮堤の建設も検討しつつ、早期に施工可能な水密化対策や電源対策に着手したはずである。そして、福島地裁判決が認定するように、東日本大震災までに工事は完了することができた。
〇第28準備書面(一審被告東京電力共通準備書面(5)に対する反論)
・一審原告らは,避難をしたことで,居住していた地域の放射線量にかかわらず,まるごとの生活を奪われたのであって,それは避難区域がどこかによって変わりがありません。帰還困難区域であれ,自主的避難等対象区域であれ,避難に伴って生じる様々な苦痛に変わらないのです。平穏生活権の侵害は、放射能による地域の汚染だけでなく、避難指示それ自体によっても生じています。
・中間指針が、精神的苦痛が相対的に大きいであろう避難者を想定した賠償基準でないこと、むしろ、最大公約数的な最低限の賠償を定めた基準であることが明らかです。一審原告らの慰謝料が中間指針の基準を下回るという一審被告東京電力の主張には理由がありません。
〇第27準備書面について(糸長浩司日本大学特任教授による一審原告の現地調査の結果)
・2019年5月23日,日本大学特任教授である糸長浩司教授が,一審原告宅の敷地内及び隣接する里山内で調査を実施しました。一審原告の自宅は除染されたとはいえ,このような汚染土壌が30年もの間すぐ側にあり続けるという異常な状況に晒されているといえます。
・福島県相馬郡飯舘村は宅地や農地は除染されたとはいえ,今もなお場所によっては法によって厳重に管理されるべき放射性汚染物質にあたる土や樹,触れてはならない土が残されており,村民はその側で生活することを強いられています。
なお,東京電力と国は,意見陳述を行いませんでした。
次回,福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第7回裁判は,令和2年2月28日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれる予定です。
なお,今回の控訴審第6回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の報告集会配布書面をご覧ください。