原発被害救済千葉県弁護団
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2016年03月08日

原発被害者集団訴訟第19回裁判のご報告

当弁護団は,18世帯47名の原発被害者(以下「原告」といいます。)の方々の原発事故被害による損害賠償を求めて,東京電力と国を被告とした原発被害者集団訴訟を提起しています。

原発被害者集団訴訟第19回裁判が,平成28年2月5日(金)午前10時より,千葉地方裁判所601号法廷にて,行われました。

傍聴席は,ほぼ満席でした。 

第19回裁判において,まず,裁判長が,廣谷章雄裁判官から,阪本勝裁判官へ交代しました。裁判長が交代したことに伴い,これまでの裁判でのやりとりを,新しい裁判長らへ明らかにする必要があります(これを「弁論の更新」といいます。)

そこで,当弁護団は,滝沢事務局長より15分程度かけてこれまでの主張とその到達点の概要について,意見を述べました。

その後,中丸副団長が,7分程度かけて今回提出した原告ら第40準備書面を口頭で説明し,藤岡事務局次長が,4分程度かけて被告東京電力保有津波試算文書につき裁判所を通じて取得する必要性について説明しました。

最後に,原告17番の方が,原発事故前の生活や事故後の避難生活等について,意見陳述を行いました。被告国は相変わらず原告の方の意見陳述について反対の意見を述べましたが,裁判所は,これを許可しました。

次回第20回裁判は,平成28年4月26日(火)午後2時より,601号法廷で行われます。

傍聴席は抽選となりますので,傍聴をご希望の方は,お早めに,千葉地方裁判所1階ロビーへお越しください。

なお,第19回裁判において,原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は,下記のとおりです。

 

 (1) 当弁護団の主張や証拠の提出

★被告国に対する求釈明申立書の陳述

○概要

① 2008年,被告東京電力は,地震調査推進本部の「長期評価」という公的見解に基づいて,明治三陸沖の波源モデルを福島沖日本海溝沿いに置いて津波評価技術の手法で津波高の試算を行った。

 原告らは,2002年の時点で,被告東京電力が上記想定・試算をすべきだったし,上記想定・試算は2002年当時から可能であったと主張している。

② これに対し,被告国は,上記原告らの主張に対し,反論をしていない。

 被告国は,上記①の原告らの主張を争うのか,明らかにされたい。

 

★第40準備書面(被告東京電力準備書面(9)に対する反論)の陳述

○概要

① 「線引き」による区域設定は,被害実態とずれがある。区域の違いが,必ずしも放射線汚染の実情,復興政策の進捗と対応していない。

 除染効果には,限界がある。福島県は森林率が71%と高く,森林の除染は宅地ベースで行われるため,根本的な除染とはなりえない。

 正確な線量を測定することは困難である。被告東京電力の主張する放射線量率は,実際の居住エリアの放射線量を反映していない。

 福島県による2巡目の甲状腺検査結果を踏まえた「県民健康調査における中間取りまとめ案」によれば,放射線被ばくの健康影響については今後の追跡調査を待たないと最終的な結論が分からないという趣旨の記載がある。小児甲状腺がんの多発は「被ばくによる過剰発生」との専門家の見解も報道されている。

 一般人が,放射線被ばくによる健康不安を感じ,避難し,避難を継続することは合理的である。

② 原告番号2番の自宅がある飯館村は,昨年末に弁護団が視察した際,樹木や草木の付近において,線量が高くなっていた。

 現在,原告番号2番の飯館村の自宅には,コンビニ以外に日常品を購入できる場所はない。公共の交通機関も存在しない。町役場は,除染に関与する課と住民係窓口しか,運営していない。郵便局や病院も営業していない。

 このような飯館村の状況で,平穏安全な生活の構築は無理であり,原告番号2番は,帰村が不可能と判断している。

③ 原告番号15番の自宅がある南相馬市小高区は,日常生活圏に食料品を購入するお店がない。病院が開院する予定もない。場所によって放射線量が高く,除染物質が詰められた袋の集積場が次々と作られつつある。

 南相馬市小高区の住民が帰還することは困難である。

 被告東京電力が指摘する事実は,被害の実態に応じた具体的な状況を全く考慮していない。現に,原告番号15番の自宅では放射線量が高い場所も存在し,原告らが実際に生活する空間における空間放射線量を反映していない。

④ 原告番号8番が避難した西白河郡矢吹町は,昨年4月の時点でも,約2万5千人が避難を継続していた。

 原告番号8番の本件事故時点での居住地が除染の対象とされなかった理由は,行政だけで除染することが難しかったからである。線量的に問題がないという理由ではない。

 放射性物質による人の健康に影響を及ぼす危険について,科学的に十分に解明されていない。矢吹町民の4ヶ月間の外部被ばく線量推計値により,放射線による健康被害があるとは考えにくい,とは評価できない。

 

★証拠の提出

〇提出した主な証拠

 昨年12月に実施した現地視察に基づく飯館村の写真撮影報告書(弁護団員作成),不均衡な復興とは何か(除本理史教授作成),原告番号2番・8番・15番の各陳述書

 

★意見書・上申書等の提出

◯損害論の主張項目整理案に関する意見書

○訴訟手続承継申立書

◯訴訟進行に関する意見書

◯文書送付嘱託申立書

 

 

(2) 被告東京電力の主張や証拠の提出

★意見書の提出

〇平成28年1月21日付原告ら「訴訟進行に関する意見書」に対する意見書

 

 

(3) 被告国の主張や証拠の提出

★求釈明に対する回答書の陳述

○概要

 被告東京電力が2008年に行った津波に関する想定・試算を,2002年の長期評価公表後から2006年までに行うべきだったとはいえない。

 また,上記2008年の試算と同様の精度での試算は,2002年の長期評価公表後から直ちに可能であったとはいえない。

 

★意見書の提出

 〇意見書(損害に関する主張整理項目案について)

 ◯前提事実案に対する意見(2)

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