トップ>福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審) 第2回口頭弁論期日のご報告
2020年10月30日
福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された6世帯17名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第5部は,平成31年3月14日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。現在,福島原発千葉訴訟第二陣の審理は,千葉地裁から,東京高等裁判所第16民事部へ移っております。
福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第2回口頭弁論期日が,令和2年9月23日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。
傍聴席は,新型コロナウィルス感染対策防止のため,数に限りがあったものの,満席でした。
第2回口頭弁論期日では,1回目のプレゼンテーションとして(※第3回・第4回口頭弁論期日も含めて,計3回,裁判所に対して,一審原告らの方々の主張をプレゼンテーションする予定です),一審原告の方々が主張する国の責任のうち予見可能性の点を中心に,合計35分程度かけて,弁護団員2名が法廷で説明しました。以下は,実施した1回目のプレゼンテーションの概要を記載したものです。
なお,東京電力と国は,プレゼンテーションを行いませんでした。
〇一審原告らの控訴理由の要旨・責任論・予見可能性
・2002年「長期評価」は,海溝型分科会での地震学の専門家の充実した議論・検討とその後の上位の部会・委員会における検証を経て策定・公表されており,結論に客観性が担保されている上,地震学上の構造の同一性や津波地震の確立した知見に基づき,その合理的根拠は,国の反論によっては何ら揺るがない。国が長期評価の信頼性を否定する主たる根拠である,付加体説は,当時からあくまで仮説にとどまり,付加体のない海底構造でも実際発生していたこと等からすれば,国の主張は,本訴訟になって後から生み出された虚構のストーリーと言わざるを得ない。
・土木学会「津波評価技術」に依拠したことが不合理ではないとの一審被告らの主張も誤りである。国の主張は,当時の長期評価に対し検討を怠ってきた実態を,後から何とかして理屈づけようと,当時,単に津波シミュレーション手法にすぎない津波評価技術に将来の地震想定も目的としていたなどと,後付けで虚構のストーリーを加えているものである。
・長期評価が公表された2002年当時,保安院は,同年8月に事業者たる東電にわずかなヒアリングを行っただけで ,長期評価を規制に取り込むかどうかの調査や判断を一切尽くすことなく,その後も対応を怠り続けたものである。したがって,事実が存在しない以上,国の当時の長期評価についての判断が正当であったなどと評価される余地はない。
次回,福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第3回裁判は,令和2年11月20日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれる予定です。
今回の控訴審第2回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の書面をご覧ください。