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2020年11月27日

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審) 第3回口頭弁論期日のご報告

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された6世帯17名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第5部は,平成31年3月14日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。現在,福島原発千葉訴訟第二陣の審理は,千葉地裁から,東京高等裁判所第16民事部へ移っております。

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第3回口頭弁論期日が,令和2年11月20日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。

傍聴席は,新型コロナウィルス感染対策防止のため,数に限りがあったものの,概ね埋まっておりました。

 

第3回口頭弁論期日として,まず,審理する裁判官3名のうち1名が交代したため,「弁論の更新」という手続を行う必要がありました。そこで,「弁論の更新」手続として, 裁判所は,弁護団・東電・国に対し,「従前の主張を維持するということで変わりないか」旨確認し,それぞれより承諾を得ました。

 

次に,2回目のプレゼンテーションとして,一審原告の方々が主張する国の責任のうち結果回避可能性の点を中心に,合計35分程度かけて,弁護団員2名が法廷で説明しました。以下は,実施した2回目のプレゼンテーションの概要を記載したものです。 

なお,東京電力と国は,プレゼンテーションを行いませんでした。

 

 

〇一審原告らの主張の要旨・責任論・結果回避可能性について

・仙台高裁判決は、「一審原告らにおいて,一定程度具体的に特定して結果回避措置についての主張立証を果たした場合には,その具体化された措置が実施できなかったこと,またはその措置を講じていても本件事故が回避不可能であったこと等の,結果回避可能性を否定すべき事実を,一審被告東電において,相当の根拠,資料に基づき主張立証する必要があり,一審被告東電がかかる主張立証を尽くさない場合には,結果回避可能性があったことが事実上推認されるものとみるのが相当である」と判断しました。一審原告らは,具体的な津波対策に関する主張立証をしており,一審原告らがこれら具体的措置について詳細な数値を掲げる必要はなく、「要求事項」を掲げれば十分です。したがって、一審原告らが主張した具体的措置ができなかったことあるいは当該措置を講じても結果回避不可能であったことの主張立証責任は一審被告らにあるといえます。

 

・一審被告国は、本件事故当時の科学技術水準に照らした津波対策は、ドライサイトの維持に尽きるものであり、津波が敷地内に侵入することを前提とした水密化等の対策が導かれることはない等と主張しています。しかし,仙台高裁では、本件事故当時まではドライサイトコンセプトが主流であったと認めつつ、通常の浸水や溢水に対応するという水密化の技術自体新しいものではなく国内外でも既に実施されていたこと、現に福島第一原発に関しても水密化対策が提案されていたことなどから、防潮堤の設置と共に水密化対策も検討の対象となったであろうと推認することが相当であるとして、一審被告国の主張を排斥しています。

 

・タービン建屋及び共用プール建屋内の配電盤の機能喪失が回避できれば、本件事故は回避することが可能だったのです。何ら防護措置が講じられていなかった建屋駆体、大物搬入口等、及び建屋内の間仕切り等が本件津波に対しても相当程度の防護機能を果たしていました。想定津波と本件津波は浸水深、波圧において大きな差異はありません。想定津波の浸水深約5mを前提として、かつ安全上の余裕を確保して「建屋の水密化」等の防護措置が講じていれば、本件津波に対しても電源盤等の被水を防止し全交流電源喪失を回避することは可能だったといえます。

 

 

〇責任論・まとめ

・2002年7月の「長期評価」公表直後の2002年8月,保安院の川原修司氏・耐震班長らが,東電担当者(高尾誠氏)に対し,「長期評価」の津波地震の想定に基づいて,津波シミュレーションを実施するよう求めた。しかし,東電は,これに40分にわたって抵抗し,結局,津波シミュレーションを実施させることはできず,東電に対し地震本部の委員から話を聞いてくるように求めるだけで終わった。その後,東電は,佐竹健治教授から話を聞いてきたとして,保安院に対し,その内容を報告,これに対し,保安院の担当者は,「そうですか,分かりました」と答え,この対応を是認し,この時点で,「長期評価」に基づく津波対策は不要と判断した。これが「2002年8月保安院対応」といわれるものである。

 

・2002年8月保安院対応は,極めて杜撰な対応であり,国がいうような「調査」を尽くしたなどといえるものでは全くない。いわば事業者たる東電の津波対策を先送りするための強い抵抗を受け入れ,それを「黙認」したものといえる。仙台高裁判決は,この2002年8月保安院対応について,「自ら十分な調査もしないまま,「一審被告東電による不誠実ともいえる報告を唯々諾々と受け入れることとなったものであり,規制当局に期待される役割を果たさなかったものといわざるを得ない。」と国の対応を厳しく指摘している。

 

・2002年8月保安院対応以降,「長期評価」について調査する新たな事実が発生しなかったのではなく,真実は,国が事実を認識するための調査やその努力すら怠り,その後もその対応が見直されることなく,漫然と不作為の状態が継続したにすぎないのである。

 

 

 

次回,福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第4回裁判は,令和3年1月22日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれる予定です。

 

今回の控訴審第3回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の書面をご覧ください。

 

201120 控訴審第3回裁判のご報告 201120 国・第5準備書面目次

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