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2021年09月24日

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審) 第7回口頭弁論期日のご報告

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された6世帯17名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第5部は,平成31年3月14日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。現在,福島原発千葉訴訟第二陣の審理は,千葉地裁から,東京高等裁判所第16民事部へ移っております。

 

福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第7回口頭弁論期日が,令和3年9月22日(水)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。

傍聴席は,新型コロナウィルス感染対策防止のため,数に限りがあったものの,少し空席が目立ちました。

 

第7回口頭弁論期日では,弁護団員2名が,一審原告の方々が今回提出した書面の要旨を,合計15分程度かけて,法廷で説明しました。以下は,弁護団員2名が法廷で説明した内容の概要を記載したものです。 

なお,東京電力と国は,いずれも意見陳述を行いませんでした。

 

また,裁判所は,第9回口頭弁論期日と第10回口頭弁論期日として,以下の日時を,指定しました。

第9回口頭弁論期日 令和4年3月9日(水)14時
第10回口頭弁論期日 令和4年6月29日(水)14時

 

第23準備書面について

・一審原告らに権利侵害がないという一審被告東電らの主張は、一審原告らの被害を矮小化するものに他なりません。そもそも、一審原告らの被害は“不安”のみではありません。また、一審原告らに、放射能の作用による身体的被害が無いとも言い切れません。さらには、一審原告らの不安が単なる主観的・抽象的な不安、危惧感ではないことについても、これまで何度も主張してきた通りです。

・一審被告東電は「一審被告東京電力共通準備書面⑷」において、改めて生活妨害に関する裁判例をいくつも引用し、一審原告らに自主賠償基準を超える損害が生じていないことを論じています。しかし、そもそも本件事故を生活妨害に関する裁判例と同列に論じることはできないと考えます。一審被告東電の引用する生活妨害の事案では、排ガスや悪臭といった被害が問題となっていました。これに対し、本件原発事故は世界最悪かつ国内でも例を見ない甚大な規模の被害であり、町・里山にもおよんだ放射能汚染は完全な浄化は困難とされ、放射能汚染という権利侵害が目に見えず、それに伴うリスクもがんという生命に関わるものが予想されました。さらに、これらの権利侵害を回避するため年単位にわたる避難が行われました。このように、本件事故は、生活妨害には単純に分類できない深刻さがあるといえ、生活妨害の裁判例を比較することは無意味といえます。

・これらの生活妨害に関する裁判例と本件が決定的に違うと思われるのは、本件事故では、本件が放射能汚染という権利侵害が発生した後、一審原告らの避難行為が介在することで損害が拡大してしまったという点です。ただし、一審原告らの避難行為が介在するといっても、それが単に一審原告らの主観的・抽象的な不安、危惧感により行われたものでないことは繰り返し述べているとおりです。一審原告らは、放射能汚染という類を見ない権利侵害を前に、長期的観点からの健康被害の予測も立たぬ中で、将来の自身の生命身体の安全を守るため大きな決断を迫られて行動したのであり、本件の権利侵害の特性に起因してそのような避難を余儀なくされたことはいうまでもありません。

 

第24準備書面の要旨説明・責任論・結果回避可能性

・一審原告らは,水密化対策として,①「タービン建屋の水密化」「共用プール建屋の水密化」②「重要機器室の水密化」を主張している。仮に,共用プール建屋とタービン建屋が水密化されており,各配電盤及びそれらを接続する電線等がすべて機能を維持していたならば,2号機用と4号機用の空冷式非常用ディーゼル発電機は機能を発揮し,それぞれ1号機,3号機への電力融通により,1号機から4号機は全電源喪失にはならなかったはずである。

・福島第一原発の事故当時の電源盤配置状況は,系統分離がされておらず非常に脆弱な配置設計であったこと,多重防護の観点から,建屋に水密扉を設置し,さらに重要機器室の一つ一つに止水扉が設置され,貫通部の水密化が行われていれば,より安全性は高まり,事故が防止可能となる。

・「建屋等の水密化」対策は後知恵ではない。本件事故以前から水密化対策が現実に検討ないし実施されていた。東海第二原発でも,2009(平成21)年には「長期評価」を前提に「建屋の水密化」対策として,防水扉,防水シャッター等が現に10ヶ月程度の施工期間により実施され完成していた。浜岡原発でも,2008(平成20)年までの段階で津波対策として,原子炉建屋等の出入口の防水構造の防護扉等の設置がなされ,さらに建屋やダクト等の開口部からの浸水への対応も進められていた。一審被告東電においても,2008(平成20)年から2011(平成23)年にかけて「長期評価」の津波地震の想定を前提として「防潮堤の設置」とともに「建屋等の浸水防止」が検討されていた。

・東京高裁2020(令和3)年2月19日判決では,結果回避措置として防潮堤が第1に検討されるとしつつ,水密化の措置を十分に想定できたと判示している。さらに,想定津波を前提に水密化の措置を取っていた場合,少なくとも本件津波により生じた浸水よりも浸水の規模を相当程度抑制できた蓋然性があり,本件事故のような全電源喪失の事態に至るまでのことはなかった蓋然性があると判示した。従って,本件事故の結果回避可能性は優に認められる。

 

 

 

次回,福島原発千葉訴訟第二陣(控訴審)第8回裁判は,令和3年12月8日(水)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれる予定です。

 

今回の控訴審第7回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の書面をご覧ください。

 

210922 控訴審第7回裁判のご報告

 

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