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2018年12月28日

福島原発千葉訴訟第1陣 控訴審 第2回口頭弁論期日のご報告

福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された17世帯43名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第3部は,平成29年9月22日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。

 

 

福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第2回口頭弁論期日が,平成30年11月16日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。

 

 

傍聴席は,10席前後,空席がありました。 

 

 

裁判長が交代しました。新しい裁判長は,白井幸夫裁判官です。裁判所職員総合研修所長や,司法研修所教官等を担当していたようです。

 

 

裁判長が交代したことに伴い,第2回口頭弁論期日では,弁論の更新に伴う意見陳述を行いました。具体的には,弁護団員3名が,国の責任論・損害総論・今後の進行に関する意見陳述を,そして,一審原告本人が意見陳述を,それぞれ法廷で行いました。

 

 

一審原告ご本人や弁護団員が法廷で陳述した意見の概要は,以下のとおりです。

 

 

 

〇一審原告 意見陳述

 

 

・原発事故によって放射能で汚染され、先祖代々の家も屋敷も田畑も山林も、全てを失いました。戦後からの私の人生をかけて築き上げてきたもの全てを失いました。

 

 

・国と東電は、「原発は絶対安全安心」という神話を四十年間地域に発信し続け、七号機・八号機を作る準備を進めていました。この「絶対安全安心」を保証することを大前提として、国と東電は防潮堤を作らず、津波対策を行わないという判断をしていたと考えられ、その結果、今回の大規模な原発事故が起きた訳ですから、国及び東電の責任は明白かと思われます。

 

 

 

〇弁護団員 国の責任論 意見陳述

 

 

 ・本訴訟の責任論における最大の争点は,予見可能性,特に日本海溝寄りのどこでも津波地震(地震の揺れは小さくとも巨大な津波を生む低周波地震)が発生しうるとした2002年の地震調査研究推進本部(地震本部)「長期評価」の信頼性にある。「長期評価」は,「行政的にも地震防災に生かされていくこと」が当然に予定された政府の見解であり,個々の専門家の意見とは異なる,公的な性格と重要性を持つ。また,「長期評価」は,地震・津波についての知見の進展を踏まえ,第一線の研究者が議論を尽くして作成されたものである。「長期評価」に高度な信頼性が認められること,「長期評価」が「規制権限の行使を義務付ける程度に客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見」であることは,疑う余地がない。

 

 

・国は,「長期評価」の見解が具体的な根拠を伴わず単に理学的に否定できないレベルの知見にすぎないとして,決定論として取り込まずに,確率論的安全評価の中で取り入れる判断をしたと主張する。しかし,国の主張の実態は,規制される側の東電からの極めて不十分かつ不正確な報告に対し,自ら何らの調査検討も行わずに,長期評価を決定論として取り入れることを先送りにしてしまったものであり,確率論的安全評価で取り込んでいくとの事実は欺瞞である。国の主張する「決定論ではなく確率論において取り扱う方針」とは,実際には何もしないことと同義である。

 

 

・国の責任を認めた福島地裁判決は,過去の対策例も詳細に検討した上で,防潮堤の設置に代えて,あるいは防潮堤の設置と並行して,タービン建屋等の水密化及び重要機器室の水密化の措置が講じられるべきであったと判示している。水密化等の措置は後知恵でも何でもなく,本件事故前からある技術で防潮堤と比較しても容易に実施可能であり,現実にも事故前から他の原子炉施設では建屋の水密化等の対策が取られていた。本件事故前の知見から,本件原発事故という結果を回避することは可能だった。

 

 

 

〇弁護団員 損害論 意見陳述

 

 

・1990年にICRPが出した勧告では,公衆が容認できると線量限度が,年間1mSvとされました。少なくとも,年間1mSv超えるような場所に関して,避難の合理性が認められるというべきです。

 

 

・避難指示区分や中間指針は,ふるさと喪失慰謝料や避難慰謝料の金額に直ちに影響を与えないはずです。裁判所においては,加害者である国が作ったルール,基準ではなく,原告たちの声を,自分の耳で聴いて,また,自ら現地の状況を体感して,生の事実を評価し,慰謝料額を認定していただきたい。

 

 

・7年余りが経過した現時点においても,1審原告たちの故郷は,帰還が困難であり,また,到底元の姿に戻っているとはいえない状況が続いている。

 

 

 

〇弁護団員 まとめと進行 意見陳述

 

 

 ・原発事故による甚大な被害は、誰のどんな原因で、何が問題だったのか、という真摯な検討の前提条件として、私たちは、そこにある被害に触れる現地検証が不可欠なのだと断言します。本控訴審の裁判官におかれましては、ともかく、一度現地に赴き、原告たちの声に耳を傾け、失われた被害の大きさを実感していただきたいと重ねて強く求める次第です。当然ながら、第一審の弁論終結後も今なお続く、「ふるさとの被害状況」等についても、この法廷で1審原告ら一世帯一人の本人尋問の実施も不可欠です。

 

 

 

その後,国も,意見陳述を行いました。

 

 

国は,「津波評価技術」を用いた決定論的安全評価による津波対策を行ってきた中,「長期評価の見解」を決定論ではなく,確立論的安全評価に取り込んでいくと判断したことが,当時の理学的・工学的知見に照らして著しく合理性を欠いていない,本件原発事故前の工学的知見に照らして合理的に導き出される結果回避措置によって本件原発事故は回避できなかった等,7月6日の意見陳述と同じような内容を述べ,終始,国に責任がないことを繰り返し述べていました。

 

 

なお,東京電力は,意見陳述を行いませんでした。 

 

 

 

次回,福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第3回裁判は,平成31年2月15日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,開かれます。

 

 

是非,傍聴にお越しください。

 

 

 

なお,今回の控訴審第2回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の報告集会配布書面をご覧ください。

 

 

181116 報告集会配布書面

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