原発被害救済千葉県弁護団
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藤井・滝沢綜合法律事務所

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2013年12月05日

第1次集団訴訟の経過のご報告

当弁護団が,8世帯20名の原発被害者の方々(以下「原告」といいます。)の原発事故被害による損害賠償を求めて,東京電力と国を被告として提訴した集団訴訟につきましては,これまで,合計3回の口頭弁論が開かれました。

以下,これまでの集団訴訟の経過をご報告いたします。

 

 

1回口頭弁論の経過について

第1回口頭弁論は,平成25年5月31日,千葉地方裁判所で開かれました。

同様の集団訴訟は,平成25年3月11日,全国4つの地域で同時に提起されましたが,第1回口頭弁論期日の開催は,千葉地方裁判所が初めてだったことから,全国的にも注目を集めました。当日は,51席の傍聴券を求めて,大勢の方々が列を作りました。

第1回口頭弁論期日で行われた主な内容について,ご報告いたします。

 

◆第1回口頭弁論期日までに提出された書面が陳述されました。これにより,東電と国の言い分が,ある程度明らかになりました。

~原告の訴状陳述~

【訴状の要旨】①国と東京電力は,一体となって原発事業を積極的に推進してきた,②原発事故により,原告らは,人格発達権(地域の人と関係を築き,人間らしい生活を続けていく,人生のありとあらゆる発展可能性を保障される権利)や平穏生活権(放射線被ばくの危険や不安のない平穏な生活が保障される権利)を侵害された,③事故は予想できたのに,東京電力は安全対策を行わず,国もこれを放置したのであるから,東京電力と国は共同不法行為責任を負う,④原告らは,人間としての尊厳と真の被害の回復を実現すべく,司法による救済を求める。

~被告東電の答弁書陳述~

【答弁書の要旨】①原告らの被った損害が,本件事故と相当因果関係があり,損害の立証がなされる限り,原賠法3条1項に基づき,原子力損害賠償紛争審査会の定める中間指針に従って賠償に応じる,②地震と大津波は予想できなかった,③原賠法3条1項以外の民法上の不法行為責任は負わない,④原告ら各人の個別の損害については,今後の個別立証を待って,必要な範囲で認否を行う。

~被告国の答弁書陳述~

【答弁書の要旨】①国は,国家賠償法1条1項の損害賠償責任を負わない,②人格発達権や平穏生活権は,法的根拠がない,③原告が主張する国の責任原因全てについて争う。原告の主張について,詳細な釈明を求める。

 

◆原告により,以下の意見陳述がなされました。

~原告ご本人による意見陳述~

【要旨】①避難先に落ち着くまで,苛酷で先の見通しの立たない不安な避難生活を強いられた,②避難生活により,平和な暮らしを根こそぎ奪われた,③裁判により,東京電力と国の責任を明確にしたい,④多くの原発被害者の糧になるよう勇気を出して集団訴訟に加わった,⑤故郷を返してほしい,それが出来ないなら,元の生活に戻れるだけの十分な賠償をしてほしい。

~当弁護団団長福武公子弁護士による意見陳述~

【要旨】東京電力は「国策」として行われた原発推進政策のもとで,利潤追求を最優先させ,安全を無視した経営を行った。集団訴訟の目的は,東京電力の責任を問うとともに,国に法的な責任があることを明らかにするものである。原告ら被害者に,損害の完全な補償を実現して,人間としての尊厳を取り戻すことが求められている。

~当弁護団事務局長滝沢信弁護士による意見陳述~

【要旨】上記訴状の概要を陳述。

 

 

2回口頭弁論について

第2回口頭弁論は,平成25年7月19日,千葉地方裁判所で開かれました。

第2回口頭弁論期日で行われた主な内容について,ご報告いたします。

 

◆第2回口頭弁論期日までに提出された書面が陳述されました。

~原告の第1準備書面陳述~被告国の求釈明に対する回答

【第1準備書面の要旨】原発事故を防ぐために国が行使すべきだった具体的な規制権限の説明や平成18年の時点で国が規制権限を行使すべきだった理由など。

~原告の第2準備書面陳述~原子炉設置許可処分と国賠法1条1項の関係

【第2準備書面の要旨】①国家賠償法1条1項の違法の解釈,②不合理で危険性を含む安全審査指針類が,原子力委員会や原子炉安全専門審査会(当時)の判断に重大な影響を与え,内閣総理大臣の判断がこれに依拠してなされたことなどからすれば,内閣総理大臣(当時)は,原発事故が発生し甚大な被害が発生することを予見可能だったのに,国家賠償法上,違法な原子炉設置許可処分を命じた。

~原告の第3準備書面陳述~被告東電の答弁書に対する反論

【第3準備書面の要旨】被告東電が原発事故による被害発生を分かっていたこと(故意),または被害発生を予見可能であったこと(過失)を明らかにしないと,原告の慰謝料等損害額を適切に評価・算定できないことなどからすれば,原子力損害賠償法のみならず,民法709条及び717条1項も被告東電の法的責任を追及する根拠となる。

~原告の第4準備書面陳述~原告番号4・被害の実態と損害賠償請求額の算定根拠

【第4準備書面の要旨】原告番号4番の方の原発事故前の生活状況,原発事故後の避難生活,原発事故によって発生した具体的な損害等。

 

◆原告ご本人により,以下の意見陳述がなされました。

~原告ご本人による意見陳述~

【要旨】①避難区域外の矢吹町から避難した,②国の「健康に影響はない」という言葉を信じ,すぐに避難を決意したわけではない,③平成23年8月19日,子どもたちの尿からセシウムが検出され,目の前が真っ暗になった,④もっと早く避難を決意していればと悔やまれる,⑤原発事故によって,両親や友人と一緒の生活,それと同じ幸せを,私が生まれ育った矢吹町で子どもたちにも与えてあげたいという願いを奪われた,⑥国と東電に対して然るべき責任を認めてほしい。

 

 

3回口頭弁論(準備的口頭弁論)について

第3回口頭弁論は,平成25年10月11日,千葉地方裁判所で第3回口頭弁論(準備的口頭弁論)が開かれました。第3回からは,争点及び証拠の整理も公開の法廷で行われることになり,傍聴人の方々にも裁判の進行状況が把握しやすくなりました。

第3回口頭弁論期日(準備的口頭弁論)で行われた主な内容について,ご報告いたします。

 

◆第3回口頭弁論期日(準備的口頭弁論)までに提出された書面が陳述されました。

~原告の第4準備書面陳述~

【第4準備書面の要旨】原発事故前の生活状況,原発事故後の避難生活,原発事故によって発生した具体的な損害等。※今回,原告の方々が所有していた山林や農地の損害を具体的に算定した上で請求したこと等から,本訴訟で請求する損害額を拡大しました。

~原告の第5準備書面陳述~原子炉設置許可処分と国賠法1条1項の関係

【第5準備書面の要旨】①最高裁判所は,これまで,国がやるべきことを行わずに放置していた事実の違法性を判断する場合,どのような事実を考慮しているのか,これに関する詳細な分析。②最高裁判所の分析を踏まえ,国は,原発事故の様に広く国民の生命や健康被害という深刻な被害を発生させる場合,原子炉を,最新の地震や津波等の知見等に対応できるよう,適時かつ適切に,権限を行使すべきだった。

~被告国の第1準備書面陳述~被告国の違法性に対する反論

【第1準備書面の要旨】①被告国が福島第一発電所1号機ないし同4号機の各設置を許可したことは違法でない。②被告国は,平成18年の時点で原告らが主張するような福島第一発電所への津波の到来に関する知見を得ておらず,福島第一発電所の敷地高を超える津波が到来することを予見できなかった。③そのため,被告国が,平成18年の時点で福島第一発電所1号機ないし同4号機の各設置の許可を取り消さなくとも,電気事業法に基づく規制権限を行使しなくとも,何ら違法ではない。

~被告東京電力の共通準備書面(1)陳述~被告東京電力の根拠

【共通準備書面(1)の要旨】財物賠償(建物・家財等)を除く賠償については概ね以下の①,財物賠償については以下の②の考え方に沿って,避難等対象者と自主的避難対象者に対する賠償手続きを行っている。

①原子力損害賠償紛争審査会が策定した中間指針等。

②経済産業省が公表した「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」。

~被告東京電力の個別準備書面(1)陳述~被告東京電力の根拠

【個別準備書面(1)の要旨】(原告番号4の世帯に対する個別認否)の陳述。①被告東京電力がこれまでに原告番号4番の方へ支払った賠償金額。②中間指針や被告東京電力の財物賠償基準を超える損害について(ex.ふるさとを失ったことによる慰謝料,避難生活に伴う1月あたり50万円の慰謝料)は,認めない。

 

第1次集団訴訟の第4回口頭弁論(準備的口頭弁論)の予定は以下のとおりです。

日時:平成25年12月13日午前10時30分

場所:千葉地方裁判所601号法廷

 

この裁判は公開されるため,誰もが傍聴できます。既に当弁護団へご相談なさっている方におかれましては,この裁判を傍聴する際,担当弁護士にご連絡くださると幸甚です。

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