原発被害救済千葉県弁護団
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2014年10月09日

第1次集団訴訟第8回裁判のご報告

当弁護団が,8世帯20名の原発被害者の方々(以下「原告ら」といいます。)の原発事故被害による損害賠償を求めて,東京電力と国を被告とした第1次集団訴訟を提起しています。

第1次集団訴訟第8回裁判が,平成26年9月19日(金)午前10時半から午前12時にかけて,千葉地方裁判所601号法廷にて,行われました。

傍聴席は,少し空席が目立ちました。

当弁護団は,提出した第25,27,28準備書面の要旨を,口頭で説明しました。

各準備書面の要旨を説明した後に,被告国が怠ったシビアアクシデント対策の予見可能性の対象や,ふるさと喪失慰謝料の内容等,裁判所の疑問点について,回答しました。

その後,原告番号4番の方より,どのようなふるさとを喪失したのか,分かりやすい意見陳述を実施いただきました。

最後に,裁判所と,第2次集団訴訟等との併合に向けたスケジュールの確認をし,原告らから話を聞く尋問期日の日程,検証申立等について,議論しました。

 

次回,第9回裁判は,平成26年11月7日(金)午前10時半より,601号法廷で行われます。

第9回裁判においても,原告本人の意見陳述を求めます。

皆様,ぜひとも,傍聴をお願いいたします。

但し,次回の裁判も,傍聴席の抽選を行わない予定です。

そのため,傍聴席は先着順となりますので,ご注意ください。

なお,第8回裁判において,原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は,下記のとおりです。

 

 記 

(1) 当弁護団の主張や証拠の提出
    ★第25準備書面(被告国の第7準備書面に対する反論)の陳述
      ○概要
        ① 被告国は,敷地高さO.P(水位)+10mを超えて建屋内に浸水を及ぼしうる程度の津波が福島第一原発に到来する可能性を予見していれば,O.P+10mよりも低い位置にある非常用海水ポンプの機能喪失を防護する措置をとらなければならなかった。
           また,被告国は,平成18年の段階で,シビアアクシデントに一度至ると放射性物質の大量放出により国民の生命身体が深刻な危険にさらされることを十分に予見していたのだから,シビアアクシデント対策を講じなければならなかった。
        ② 被告国は,最新の科学技術水準に応じて,万が一にも原子力の重大事故が起きないよう,適時かつ適切な規制権限行使を委任されている。また,原子力事故により身体生命へ危険が及ぶ。
           したがって,客観的かつ合理的根拠をもって形成・確立した科学的知見に基づき具体的な法益侵害の危険性が認められない限り,規制権限を行使する必要がないとする被告国の主張は,誤っている。
        ③ 被告国が全面的に依拠する「津波評価技術」(土木学会原子力土木委員会編)は,約400年程度の歴史記録に残っている既往津波に限定し,福島県沖は特別だから津波地震は起きない,という立場であり,極めて大きな問題点を含んでいる。
           原子炉事故による「深刻な災害が万が一にも起こらないようにする」という原発安全対策の観点からすれば,被告国は,「津波評価技術」のみに依存せず,「長期評価」(地震調査研究推進本部編)に拠るべきだった。
        ④ 被告国は,本件事故前から,シビアアクシデント対策として,規制権限を行使できた。
           原子炉等規制法の趣旨・目的の柔軟かつ実質的な解釈,シビアアクシデント対策の必要性に関する国際的な認識の進展,平成23年10月7日に法改正を経ずに省令によりシビアアクシデント対策を規制したこと等を踏まえれば,これは明らかである。
   
    ★第26準備書面(原賠法と民法上の不法行為規定の適用問題と賠償額との関係)の陳述
      ○概要
        ① 被告東京電力の本件事故に関する過失の有無・内容を検討するのであれば,原子力損害の賠償に関する法律,民法,どちらの法律が適用されたとしても,損害賠償の範囲は変わらない。
           しかし,被告東京電力が主張するように,本件事故に関する過失の内容・有無を考慮しない場合,どちらの法律が適用されるかにより,損害賠償の範囲は変わる余地がある。
        ② 過失を考慮することは裁判所の裁量事項であるのに,なぜ過失を審理できないのか,被告東京電力は,説明されたい。
       
    ★第27準備書面(損害論まとめ)の陳述
      ○概要
        ①  原告らは,本件事故がなければ,原告らが現在置かれているであろう「状態」を回復できるだけの賠償として,避難慰謝料・ふるさと喪失慰謝料・居住用不動産の賠償を求めている。
        ②  中間指針等は,あくまで当面の最低限の賠償を示し,被告東京電力が納得することを前提に策定された。また,中間指針等は,被告東京電力の本件事故に関する帰責性が考慮されず,本件事故関係市町村の首長や住民の声を十分に聞くことなく,策定された。
           よって,中間指針等に基づく賠償では,明らかに不十分である。
        ③  中間指針における避難慰謝料の金額(月額10万円)は,交通事故の自賠責基準に基づき策定されており,妥当ではない。
           避難生活者は,事故以前の居住場所から隔離されているという点で,入院に匹敵する身体拘束を受けている。本件事故の悪質性・被害実態の深刻さを踏まえれば,避難慰謝料の金額は,1人月額50万円を下ることはない。
        ④  本件事故により,放射能汚染・産業への影響・コミュニティの喪失といった被害が生じていることから,これらの被害に基づく精神的損害を賠償するために,避難慰謝料とは別に,ふるさと喪失慰謝料が発生している。
           ふるさと喪失慰謝料をあえて評価すれば,交通事故によって大事な家族を失ったことに匹敵するものとして,2000万円を下らない。
        ⑤  居住用不動産の賠償額は,居住用不動産の再取得価格である。
           原告らは,再取得価格としてフラット35による金額を請求しているが,再取得価格がフラット35を上回った場合は,追加賠償が認められるべきである。
        ⑥  現在行われている除染は,不十分な内容である上,円滑に進められていない。本件事故も未だ収束しておらず,福島原発周辺地域においては,避難指示区域の内外を問わず,放射能汚染のリスクと隣り合わせである。
           そのため,原告らが,本件事故による追加被ばくのおそれから逃れるため,引き続き避難することは合理的である。精神医学・心理学の観点からみても,原告らが,低線量被ばくにより,健康不安を抱くことは合理的である。
           したがって,被告国による避難指示の有無にかかわらず,避難生活によって生じた損害は,賠償されるべきである。
   
    ★第28準備書面(原告らの不動産損害について)の陳述
      ○概要
         フラット35の金額を,原告らの不動産損害の最低限の損害とすることは不相当ではない。
         現に,中間指針第2次追補「財物価値の喪失又は減少等」・同第4次追補「住宅確保に係る損害」の趣旨に沿って計算した原告らの不動産損害は,フラット35の金額と,大きな違いはない。
   
    ★第4準備書面の2の2,6の3,8の3の陳述
      ○概要
         居住用不動産の損害等,本件事故による損害についての補充主張。
   
    ★証拠申出書(原告番号1~8,田中三彦先生,崎山比早子先生)の提出 
       裁判所に対して,以下の方々の話を聞くように申入れしました。
      ① 本件事故により原告番号1~8の方々が被った精神的苦痛・失ったコミュニティを立証するために,原告の方々や原告のご家族
      ② 本件事故経過や原因を立証するために,元国会事故調委員田中三彦先生
      ③ 放射線の身体に及ぼす影響・区域外避難の合理性等を立証するために,元国会事故調委員崎山比早子先生
       
    ★証拠の提出
      〇提出した主な証拠
       政府事故調技術解説,原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本政府の報告書,浦川教授の論文,精神学医や心理学者の論文等。
   
    ★意見書の提出
     ◯訴訟進行に関する意見書(原告本人尋問及び専門家証人等の尋問について)
      ◯検証申立に関する意見書(人証調べに先立っての被害状況の把握と現地見分の必要性・重要性)
   
   
(2) 被告東京電力の主張や証拠の提出
  ★被告東京電力共通準備書面(6)(放射線の健康影響に関する科学的知見等の整理)の陳述
    ○概要
      ① 放射線と健康影響に関する学的知見を踏まえれば,本件事故における避難の基準として,被告国が採用する年間20ミリシーベルト基準は,国際的にみても何ら不合理でない。むしろ,十分な余裕のある設定である。
         チェルノブイリ事故によりロシアが採った対策は,過度に厳しいものである。
      ② 新聞報道や政府広報等により,低線量被ばくの健康影響に関する科学的知見は広く知られている状況だった。これを踏まえて,冷静な対応を呼びかける報道も多数なされていた。
      ③ 各種調査の結果,福島県内のほとんどの県民の方々の被ばく量は,年間20ミリシーベルトを大きく下回っていると考えられる。
 
  ★検証申立てに関する意見書の陳述
    ○概要
       「放射線被ばくによる健康不安」といった主観的感情は,裁判官が被害現地を見たところで分からない。また,本件事故後の状況は,写真等の書証で足りる。
       よって,裁判官が,被害現地に赴いて検証する必要はない。
 
  ★証拠の提出
      〇提出した主な証拠
       放射線に関する文部科学省や自治体等関係機関の文献。

(3) 被告国の主張や証拠の提出

  ★第8準備書面の陳述
    ○概要
      ① 当時の科学的知見に照らして,原子炉設置許可の基準である「昭和45年安全設計審査指針」,非常用ディーゼル発電機が1台しか設置されなかったこと,その設置位置,いずれも,何ら不合理でない。福島第一原発の安全審査は,審査期間が6ヶ月だったが,適正に行われた。
         原子炉等の設置を許可したことは,違法ではない。
      ② 被告国は,平成19年より前から,シビアアクシデント対策を事業者の自主的取組として必要な行政指導を行う等の措置を継続的に行っていた。平成19年以降も,被告東京電力を含む事業者に対して,適切な行政指導を行っていた。
      ③ 吉井議員等特定の国会議員の質問への対応の有無・当否は,被告国の規制権限不行使の違法性を判断するにあたり,直接関係がない。
 
  ★検証申出に対する意見書
    ○概要
       被害現地の状況は,写真やビデオテープを見れば十分である。また,原告らのふるさとが喪失したことは,原告ら本人から話を聞いた方が適切である。
       よって,裁判官が,被害現地にて検証をする必要性はない。
 
  ★証拠の提出
      〇提出した主な証拠
       原子力発言書安全基準第一次報告書等。
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