当弁護団は,8世帯20名の原発被害者の方々(以下「原告ら」といいます。)の原発事故被害による損害賠償を求めて,東京電力と国を被告とした第1次集団訴訟を提起しています。
第1次集団訴訟第10回裁判が,平成26年12月17日(水)午前10時40分から約1時間,千葉地方裁判所601号法廷にて,行われました。
傍聴席は,満席でした。残念ながら傍聴できなかった方も,多くいらっしゃいました。
第10回裁判において,まず,裁判所は,第1次集団訴訟と,他の裁判官によって審理されていた10世帯27名の原発被害者の方々を原告とする集団訴訟を,一緒に審理すること(これを「併合」といいます。)にしたことを述べました。
次に,裁判所は,原発事故による被害実態や想い等原告らのお話しを聞く(これを「本人尋問」といいます。)日を,3月20日(金)午前中も実施することを決定しました。これまで,当弁護団は,本人尋問の日を1月16日と1月30日のわずか2日しか用意しようとしない裁判所の方針に強く抗議し,本人尋問の日を増やすよう署名を集める等様々な活動を行って参りましたが,これらの活動が実を結んだものと考えられます。
最後に,原告ご本人の方より,原発事故前の生活や事故後の避難生活等について,意見陳述を行っていただきました。
次回,第11回裁判は,平成27年1月16日(金)午前10時より,601号法廷で行われます。
原告らの本人尋問が,午前中に2世帯,午後に5世帯,実施されます。
傍聴席は抽選となりますので,傍聴をご希望の方は,お早めに,千葉地方裁判所1階ロビーへお越しください。
なお,第10回裁判において,原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は,下記のとおりです。
記
(1) 当弁護団の主張や証拠の提出
★原告の方々の個別損害に関する反論書面の提出
◯第4準備書面の3の4(原告番号3・時効援用)について
◯第4準備書面の11の2(原告番号11・個別損害に関する主張)
◯第4準備書面の13の3(原告番号13)
◯第4準備書面の16の2(原告番号16)
◯第4準備書面の17の3兼18の3
◯第4準備書面の17の4兼18の4(山林原野の登記簿謄本と賠償請求金額について)
◯第4準備書面の17の5兼18の5(山林原野の登記簿謄本と賠償請求金額について・追加)
◯第4準備書面(4)(原告らの個別損害再反論及び既払金に関する意見)
◯第4準備書面(5)
◯第13準備書面(原告らの不動産損害について)
★意見書の提出
◯訴訟進行に関する意見書(原告本人尋問について)
◯第10回弁論の進行に関する申出書
◯訴訟進行に関する意見書(原告本人尋問の実施予定について(1))
★証拠の提出
〇提出した主な証拠
潮見佳男教授の論文(福島原発賠償に関する中間指針等を踏まえた損害賠償法理の構築)
(2) 被告東京電力の主張や証拠の提出
★被告東京電力個別準備書面(2)の陳述
〇概要
既に支払った賠償金を,原告らが主張する損害額から控除すべきである(弁済の抗弁)。
原告らが主張するふるさと喪失慰謝料は,認められない。
★被告東京電力個別準備書面(3),(4)の陳述
〇概要
原告らが主張する弁護士費用は,損害として認められない。
★証拠の提出
〇提出した主な証拠
福島県が作成した避難者数や18歳未満人口推移を記載した統計
★意見書の提出
◯原告本人尋問等に関する意見書
(3) 被告国の主張や証拠の提出
★個別第1準備書面の2~第18準備書面の2(原告番号1~18の世帯に係る損害論に対する個別認否)の陳述
〇概要
① 原告らが主張する損害に対する反論は,被告東京電力と全く同じである。
② 被告国は,仮に損害賠償責任を負うとしても,被告東京電力が原子力損害賠償法により無過失責任を負うため,被告東京電力よりも一層限定された責任しか負わない。
★個別第1準備書面の3~第18準備書面の3(原告番号1~18の世帯に係る損害論に対する個別認否)の陳述
〇概要
① 原告らが主張する弁護士費用は,損害として認められない。
② 被告国は,仮に損害賠償責任を負うとしても,被告東京電力が原子力損害賠償法により無過失責任を負うため,被告東京電力よりも一層限定された責任しか負わない。
★意見書の提出
◯証拠申出書に対する意見書
※ 被告国は,証拠を提出していません。