原発被害救済千葉県弁護団
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2015年06月24日

原発被害者集団訴訟原告本人尋問(第14回裁判)のご報告

当弁護団は,18世帯47名の原発被害者(以下「原告」といいます。)の方々の原発事故被害による損害賠償を求めて,東京電力と国を被告とした原発被害者集団訴訟を提起しています。

原発被害者集団訴訟第4回原告本人尋問等(第14回裁判)が,平成27年5月29日(金)午前10時半から午前12時まで,実施されました。

傍聴席は,前回に引き続き,満席でした。

今回は,双葉郡広野町から非難された原告の方が,裁判所で,過酷な避難生活,広野町に帰還できない苦しみ等について,40分程度,お話しになりました。福島県から避難したことだけを理由に,子ども達がいじめに遭っていたことは,印象的でした。

 

今回の裁判をもって,原告の方ご本人の尋問手続は,全て終了しました。

今後は,被告国の責任を明らかにすべく,津波地震等の専門家の方々のお話を聞く,専門家証人尋問手続が始まります。

第1回専門家証人尋問手続(第15回裁判)は,平成27年7月10日(金)午前10時半及び午後1時半より,千葉地裁201号法廷にて,実施されます。法廷は,従前と異なり,601号法廷ではないので,ご注意ください。

当日の午前は,元国会事故調査委委員である田中三彦氏より,午後は,政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会元長期評価部会長である島崎邦彦氏より,被告国に原発事故の責任がある理由について,それぞれお話しいただきます。

今回も,傍聴席は抽選となりますので,傍聴をご希望の方は,お早めに,千葉地方裁判所1階ロビーへお越しください。 

なお,第14回裁判において,原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は,下記のとおりです。

 記

(1) 当弁護団の主張や証拠の提出
  ★第32準備書面(被告国の規制権限に関する主張に対する反論)の陳述
    ○概要
      ① 被告国は,経済産業大臣に基本設計や基本的設計方針の安全性に関わる事項を是正するための技術基準適合命令を発令する権限がない,と主張している。
         しかし,電気事業法等が経済産業大臣に運転中の原子力発電所の安全規制権限を委任した趣旨は,万が一にも原子炉による災害が起きないよう,最新の科学技術知見の到達に即応しながら,原子力発電所の安全規制をすることである。
         原子炉の安全の確保という電気事業法の目的,「災害の防止」という法規制の趣旨も踏まえれば,被告国の主張は誤りである。
      ② 被告国は,法律に規定がないから,シビアアクシデント対策が法律により規制されてない,と主張している。
         だが,法の趣旨・目的を柔軟かつ実質的に解釈すれば,シビアアクシデント対策が法規制の対象であったとする原告らの主張が,正しいことは明らかである。被告国は,この原告らの主張を否定しようがないからこそ,法律に規定がないという反論しかできないのである。
 
  ★第33準備書面(具体的結果回避措置の根拠法令について)の陳述
    ○概要
      ① 被告国は,被告東京電力に対して,以下の対策をするよう,規制権限を行使して,本件事故を回避させるべきであった。
        ㋐ 重要機器の水密化,電源設備の分散配置,バッテリーの備蓄,電源車等の配置といった電源喪失対策
        ㋑ 海水に頼らない空冷の冷却ライン等を準備して複数の確実な注水手段を講じることによる冷却機能確保
        ㋒ 消化系ポンプの確保,ベントシステムの構築,電源融通や全交流電源喪失対策といったシビアアクシデント対策
      ② 技術基準省令を根拠とし,また,技術基準省令の一部を改定したり新たな規定を新設することで,被告国は,①の対策をするよう規制権限を行使すべきだった。
 
  ★第34準備書面(津波の予見可能性を基礎づける主張(2002年まで))の陳述
    ○概要
      ① 地震・津波のメカニズム,津波地震,津波・地震予測の手法と限界,本件事故の地震・津波についての説明。
      ② 電力業界において,地震対策に関しては当初から余裕を持たせた安全対策を取ることが共通認識だった。
         ところが,津波への備えに関しては,意外なほど手薄であり,わずかな文献調査に基づく「既往最大」の考え方に囚われていた。  
      ③ 被告国の4省庁は,1997年3月,「太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査報告書」(以下「4省庁報告書」といいます。)を作成した。また,防災関連の7省庁は,同時期に,「地域防災計画における津波防災対策の手引き」(以下「7省庁手引き」といいます。)を作成した。
         4省庁報告書と7省庁手引きは,過去の例に縛られることなく想定することを前提に,既往最大津波と現在の知見に基づいて想定される最大地震による津波を比較し,より大きい方を対象津波として設定するという津波予測の手法を採っている。
         電力業界が,もし4省庁報告書の津波想定方法に準拠して津波の想定を行っていれば,津波の想定にあたり「既往最大」のみを考慮していた従前の防災対策が不十分であることを,この時点で認識可能だった。
         そして,被告東京電力は,1997年・2000年に被告国の指示に基づきシミュレーションを実施した結果,福島第一原発が国内で最も津波被害に脆弱であることを認識することになったのだから,水密化等の対策に着手すべきだった。
      ④ 2002年4月,土木学会・原子力土木委員会・津波評価部会「原子力発電所の津波評価技術」(以下「津波評価技術」といいます。)が公表された。
         被告国は,この津波評価技術に依拠して,津波被害の予見可能性について主張している。しかし,津波評価技術は,以下の点につき,問題点があった。
         ㋐ 電力業界に偏った人員構成であり,部会の議事の公開が極めて不十分であった。
         ㋑ 文献調査・歴史資料にのみ依拠し,歴史資料の不完全性を無視。
         ㋒ 福島第一原発沖合の津波地震を想定から外した。
      ⑤ 地震調査研究推進本部は,2002年7月,「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(以下「長期評価」といいます。)を公表した。長期評価は,歴史地震が起きていないのは単に記録が残っていないだけであり,実際には起きているかもしれないと考える。
         長期評価に従った予測をすれば,2002年の時点で,福島第一原発に敷地高10mを超える津波が襲来する危険は十分に察知されたはずである。なお,津波評価技術のシミュレーションに準拠したとしても,福島第一原発に10mを超える津波が到来することは十分に予見可能だった。
         この長期評価に基づいて適切な対策が講じられていれば,本件事故の被害は軽微なもので終わったであろうことは想像に難くない。
 
  ★第35準備書面(被告国の第11準備書面中の「第2崎山意見書に信用性がないこと」に対する認否と反論)の陳述
    ○概要
      ① 被告国は,崎山比早子氏の意見書(以下「崎山意見書」といいます。)が小笹晃太郎氏による広島及び長崎の原爆被ばく者の寿命調査に関する論文に依拠していることを前提に,この論文を誤解・曲解していると主張する。
         しかし,崎山意見書は,小笹氏の上記論文のみに依拠していない。そもそも,小笹氏は,崎山氏の考え方を否定していない。
      ② 被告国は,低線量被ばくWGにて年間20mSVが不合理であるとは指摘されていないことを,年間20mSV基準の合理性の根拠の一つとしている。
         しかし,低線量被ばくWGのメンバーは,低線量被ばくにより健康影響について否定的な見解の者が多数占めており,WG構成自体に問題がある。また,低線量被ばくWG報告書は,子どもや妊婦の放射線感受性が高いことを曖昧にしたまま,不安感やストレスを殊更重視しており,科学的態度とは到底言い難い。
      ③ しきい値はないとするLNTモデルは公衆衛生上の安全サイドに立った判断として採用されたとする被告国の主張は,誤りである。被害者の被ばくリスクを生活習慣に伴うリスクと比較する被告国の主張は,比較すること自体不適切である。職業被ばくの線量限度を指摘する被告国の主張も,不適切である。
         被告国が指摘するUNSCEAR2010年報告書等は,2012年以降の疫学調査結果を反映しておらず,根拠とならない。
         被告国は,本件原発事故により小児甲状腺がんの発症率が増加していないと主張するが,これも事実と異なる。
 
  ★証拠申出書(島崎邦彦先生)の提出 
     裁判所に対して,「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について(2002年7月31日)」に基づく防犯対策を講じていれば津波の被害を軽減できたこと等を立証するために,元文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価部会長である島崎邦彦先生の話を聞くように,申入れしました。
   
  ★証拠の提出
    〇提出した主な証拠
     島崎邦彦先生の意見書,南相馬市・浪江町・富岡町を撮影したDVD,原子炉等規制に関する文献,低線量放射線に関する文献,電気事業連合会津波対策WGが作成した文書
 
  ★意見書の提出
    ○訴訟進行に関する意見書(次回期日以降の使用法廷について)
    ○人証申出に関する意見書2
    ○裁判所の主張整理案に対する意見書(2)
    ○和解に関する上申書(2)(3)
    ○進行に関する意見書(東電過失審理)
 
   
(2) 被告東京電力の主張や証拠の提出
  ★証拠の提出
      〇提出した主な証拠
        家財個別賠償基準に関するプレスリリース
   
  ★意見書の提出
    ◯原告らの証拠申出に対する意見書

(3) 被告国の主張や証拠の提出

    ★第12準備書面の陳述   
      ○概要
        ① 非常用ディーゼル発電機の設置場所については,安全審査において検討されたうえで本件設置許可処分に至っている。
           そのため,福島第一発電所において,非常用ディーゼル発電機を,タービン建屋の地下階に設置したことが合理性を欠くものではない。
        ② 福島第一発電所1号機の非常用電源設備とその附属設備は,技術基準省令が規定する「独立性」を満たしている。
           技術基準省令では「共通要因」として溢水や浸水は考慮する必要が無いとされ,位置的分散を求められていなかった。つまり,「独立性」の要件として,同じ建屋,フロアに非常用電源設備を設置しないことまで求められていなかった。
           したがって,平成3年に発生した福島第一発電所1号機での海水漏れにより,福島第一発電所の非常用電源設備が独立性を欠くことが明らかになったとする原告らの主張は失当である。
        ③ 内部溢水と津波による浸水等の外部溢水とでは,浸水源や機序等が全く異なり,その評価や対策も全く異なる。よって,内部溢水と外部溢水との区別に意味が無いとする原告らの主張は失当である。
           また,被告国は,溢水勉強会における検討結果を踏まえて,内部溢水対策と外部溢水対策のいずれについても適切な措置を講じており,この措置が不合理であったとは言えない。
        ④ 原子炉施設の安全確保の体系にのっとって規定された技術基準省令62号33条4項は,内部事象に関する規定であり,外部事象に対する考慮を求めた規定ではない。
   
    ★証拠の提出
      〇提出した主な証拠
        平成16,20,22~24年原子力施設運転管理年報(抜粋)
   
    ★意見書の提出
     ○人証申出に対する意見書(2)
     ○意見書(裁判所提示「被告国の責任論に関する主張整理項目案」に対して)
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