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2020年04月23日

福島原発千葉訴訟第1陣 第7回口頭弁論期日のご報告

福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)は,福島第一原発事故によって千葉県に避難された17世帯43名の方々が,国と東京電力に対して損害賠償責任を求めている裁判です。第1審である千葉地方裁判所民事第3部は,平成29年9月22日,国の責任を否定する判決を言い渡しました。

 

 

福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第7回口頭弁論期日が,令和2年2月28日(金)午後2時より,東京高等裁判所101号法廷にて,行われました。

 

 

傍聴席は,新型コロナウィルス感染対策防止のため,一定の空席が見受けられました。 

 

 

第7回口頭弁論期日では,これまで同様,今回提出した書面の概要を口頭で説明するため,弁護団員4名による意見陳述を,合計35分程度かけて,以下のとおり,法廷で行いました。 

 

 

 

 

〇責任論・第29準備書面の要旨 

 

 ・国は,2002年7月の「長期評価」公表直後,当時の保安院担当者は,東電に対し「長期評価」の津波地震の想定の根拠について確認を求め,それに対する回答を踏まえて「長期評価」には「客観的かつ合理的な根拠」がないことを確認したため,その後の決定論としての津波対策を不要とする判断をしたとして,これにより規制権限の行使に際し求められる調査義務を尽くしたと主張している。これが「2002年8月保安院対応」といわれるものである。

 

・2002年8月保安院対応は,国がいうような「調査」を尽くしたなどといえるものでは全くない。いわば東電の津波対策を先送りするための強い抵抗を受け入れ,それを「黙認」したものといえる。その後,保安院は,本件事故まで,一貫して「長期評価」の津波地震の想定についての検証を怠り,その判断は,本件事故に至るまで8年以上にわたり一度も正されることはなかった。当時の保安院の規制対応は著しく合理性を欠くものである。

 

 

〇責任論・第37準備書面の要旨

 ・共用プール建屋とタービン建屋が水密化されており,各配電盤及びそれらを接続する電線等がすべて機能を維持していたならば,2号機用と4号機用の空冷式非常用ディーゼル発電機は機能を発揮し,それぞれ1号機、3号機への電力融通により,1号機から4号機は全電源喪失にはならなかったはずである。

 

・福島第一原発の事故当時の電源盤配置状況は,系統分離がされておらず非常に脆弱な配置設計であったこと、多重防護の観点から、建屋に水密扉を設置し、さらに重要機器室の一つ一つに止水扉が設置され,貫通部の水密化が行われていれば,より安全性は高まり,事故が防止可能となる。

 

・「建屋等の水密化」対策が後知恵ではない。本件事故以前から水密化対策が現実に検討ないし実施されていた具体例がある。

 

 

〇損害論・第34準備書面の要旨

 

・一審原告ら第34準備書面は,一審被告東京電力が証拠として提出した水野謙教授による意見書(乙二共第355号)の見解について,反論を加えることを目的とする書面です。

 

・水野教授は,原告らが失ったものを抽象的なコミュニティ,関係性の喪失として,極めて限定的に捉え,“ふるさと喪失” を矮小化している。また,吉原教授の社会学説を誤って引用しており,誤ったコミュニティ論の理解を前提としている。さらに,被害の実態を軽視した,地に足のつかない持論を展開しています。水野意見書は,一審原告らのふるさと喪失慰謝料を否定する論拠とはなり得ません。

 

 

〇損害論・第36準備書面の要旨

 

・第36準備書面は,環境社会学を専門とする関礼子立教大学教授が作成されたふるさと喪失(剥奪)損害に関する意見書を元に,原告らにとってふるさとが失われたことがどのような意味を持つのか,これによって発生した損害をどう捉えるべきなのか,ということを社会学の観点から分析し,検討しているものです。

 

・意見書において,関教授は,「故郷喪失・変容慰謝料」と「避難慰謝料」が明確に異なり,別損害であること,慰謝料の賠償は,避難に伴う生活基盤喪失も踏まえてなされているという東京電力の主張が誤りであるということを述べています。避難指示の解除の有無や,解除までの期間の長短にかかわらず,原発事故によって故郷が剥奪され続けていることは共通なのです。そして,避難が終わったとしても,故郷剥奪被害はその後も継続します。

 

・関教授の意見書では,見えづらいけれども人が人として生きていくための基盤となる,土地が奪われたということの意味を,原告の生の声に耳を傾け,その痛みや苦しみを社会学の観点から分析しています。

 

 

なお,東京電力と国は,意見陳述を行いませんでした。

 

 

 

次回,福島原発千葉訴訟第1陣(控訴審)第8回裁判は,未定です。当日,裁判長は6月5日と伝えたものの,政府による緊急事態宣言を踏まえ,延期される可能性が出たためです。

 

 

 

今回の控訴審第7回口頭弁論期日において,一審原告ら・東京電力・国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の書面をご覧ください。

 

200228 第7回控訴審のご報告

 

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