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2016年12月16日

原発被害者集団訴訟第2陣 第5回裁判のご報告

原発被害者集団訴訟第2陣とは,いわゆる区域外避難者と呼ばれている6世帯20名(※裁判を提起した時点)の原発被害者が,東京電力と国に対し,原発事故による損害賠償を求めている裁判です。

 

 

 

既に23回審理を行っている「原発被害者集団訴訟」とは,別の裁判です。

 

 

 

原発被害者集団訴訟第2陣第5回裁判が,平成28年12月8日(木)午後1時半より,千葉地方裁判所601号法廷にて,行われました。

 

 

 

傍聴席は,前回同様,空席が目立ちました。 

 

 

 

第5回裁判では,当弁護団員が,提出した原告ら第7~第10準備書面の概要を,合計約20分ほどかけて,法廷で説明しました。

 

 

法廷で説明した内容を,骨子に絞ると,以下のとおりです。

 

 

1 原告ら第7準備書面について

 

 

・原発事故後に報道された内容を踏まえて,原告の方々が,原発事故の危険や不安・放射線被ばくのリスクを避けるため,避難指示区域内外から避難することは当然に合理性のある行動です。取り扱った報道内容とは,福島県の地元新聞である福島民報です。原発事故直後の2011年3月12日から2013年8月31日まで,約2年半における福島民報の記事をまとめたものです。

 

 

・野田元首相による2011年12月17日事故収束宣言以降,福島民報は約1年8ヶ月,プール冷却停止・汚染水漏等福島原発における無数の事象・事故を,日々報道していました。例えば,「第一原発4号機燃料プール冷却停止 配管から汚染水20リットル漏れ」,「汚染水漏れ過去最大300トン 第一原発タンク 高濃度8000万ベクレル検出」と報道していました。

 

 

・また,ほぼ毎月,福島県内の生産物から基準を超えるセシウムが検出され,福島県や政府が出荷自粛要請をした旨の報道がなされていました。「福島県の乳幼児141人 尿からセシウム」といった報道です。

 

 

・このような危険やリスクを避けるために原告の方々が避難することは,政府による避難指示の有無を問わず,合理性を有しています。

 

 

 

2 原告ら第8準備書面について

 

 

・被告国は,最高裁の5つの判例いずれも行政庁の裁量を前提としており,本件においても国が規制を行わないことについての広い裁量が認められるかのような主張をしています。しかし,筑豊じん肺最高裁判決,関西水俣最高裁判決,大阪泉南アスベスト訴訟最高裁判決の3つの最高裁判決においては,一言も裁量という言葉を用いておらず,権限行使における処分の選択や時期,態様等について裁量があることを前提にした言及もされていません。

 

 

・被告国は,国事業者の一次的かつ最終的な責任を前提とした二次的なかつ補完的責任しか負わない,と主張しています。しかし,我が国の原子力発電事業の歴史的事実を踏まえれば,国の責任が二次的かつ補完的な責任であるとは到底言うことができません。

 

 

 

3 原告ら第9準備書面について

 

 

・敷地高さを超える高さの津波が到来すれば,全交流電源が喪失する現実的な危険性があったことは明らかでした。とすれば,結果回避のための措置を義務付けるにあたっては,敷地高さを超える津波が到来するとの予見があれば足りるというべきです。

 

 

 

4 原告ら第10準備書面について

 

 

・本件原発事故では,津波の影響により電源を喪失し,冷却機能を失って炉心損傷に至りました。すなわち,全交流電源を失ったことが本件原発事故の決定的な原因となりました。

 

 

・全交流電源喪失を回避する方法として,以下の措置等が可能でした。

 

 

①津波の浸水を防ぐための水密扉の設置,重要機器の水密化,配管等の浸水経路の遮断,排水ポンプの設置

 

② 電源確保のための配電盤や発電機の設置場所を同じ地下に集中させることなく,地上階や高所など設置場所に多様性を持たせる

 

③ 直流電源確保のための蓄電池(バッテリー)の備蓄,大容量化

 

④ 直流電源確保のための移動式バッテリー車や可搬性の高いバッテリー配備

 

 

・また,全電源が喪失した場合に備えて,以下の措置等が可能でした。

 

 

① 代替注水策として,消防車など消火系ポンプによる原子炉および格納容器への注水手段の確保

 

② 格納容器内の圧力を下げる(これにより注水ができ,爆発も防げる)ためのベントの操作用のバッテリーや可搬式エアコンプレッサー等の機材の準備,また,放射性物質の濃度をできるだけ低減した上で外部に放出するためのベントシステムの構築

 

 

・これらの措置を実施していれば,本件原発事故は回避あるいは被害を軽減できたのであり,敷地高さを超える津波の予見があったにもかかわらず,適切な措置を取らなかった被告国及び東京電力の責任は明らかです。

 

 

 

 

 さて,第5回裁判終了後の報告集会において,「原発被害者集団訴訟」に,被告らより,崎山比早子先生の意見を批判する連名の意見書が提出されていることを,お伝えしました。その際,報告集会へご参加いただいた方より,この意見書の内容と作成者を教えて欲しいとのご要望を受けました。

 

 

そこで,上記意見書と,上記意見書のうち作成者部分をピックアップしたものを,以下のとおり,お知らせいたします。

 

 

 

乙ニ共173意見書 同意見書作成者

 

 

 

 

次回,原発被害者集団訴訟第2陣第6回裁判は,来年2月9日(木)午後1時半より,今回と同じ千葉地方裁判所601号法廷にて開かれます。

 

 

 

なお,今回の第5回裁判において,原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の報告集会配布書面をご覧ください。

 

 

 

20161208報告集会配布書面

 

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