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2017年07月22日

原発被害者集団訴訟第2陣 第8回裁判のご報告

 

原発被害者集団訴訟第2陣とは,いわゆる区域外避難者と呼ばれている6世帯20名(※裁判を提起した時点)の原発被害者が,東京電力と国に対し,原発事故による損害賠償を求めている裁判です。

 

 

 

既に千葉地方裁判所の審理を終えて本年9月22日午後2時に判決が言い渡される「原発被害者集団訴訟」とは,別の裁判です。

 

 

 

原発被害者集団訴訟第2陣第8回裁判が,平成29年6月15日(木)午後1時半より,千葉地方裁判所601号法廷にて,行われました。

 

 

 

傍聴席は,10名程度空席でした。 

 

 

今回の期日を迎えるにあたり,弁護団は,①被告国が本件原発事故の責任を負う根拠として,本件事故前に何をすべきだったか,②低線量被ばくの危険性と原告の方々の本件事故による被害の内容,について詳細に主張した書面を準備し,裁判所へ提出しました。

 

 

 

そこで,弁護団は,上記①と②について,4名の弁護士より,法廷で口頭で説明しました。

 

これに対して,被告東京電力・被告国は,自らの意見を法廷で口頭で説明することはありませんでした。

 

 

 

弁護団が法廷で説明した内容は,骨子に絞ると,以下のとおりです。

 

 

 

1 被告国の規制権限について

 

 

・被告国は,敷地の高さを超える津波が到来して電源設備等が機能喪失することを回避する措置を講じる規制権限は存在しなかったと主張する。しかし,技術基準を定める省令が根拠となる。現実に,本件事故直後,規制権限に基づき,経済産業大臣が省令62号を改訂し,第5条の2として「津波による損傷防止」を追加した。

 

 

・経済産業大臣は,被告東電に対し,省令に基づき,非常用電源設備及びその附属設備を分散配置する,または系統の一部でも水密化するなどし,共通要因たる津波の浸水に対して独立性を確保するように,電気事業法40条による技術基準適合命令を行使すべきであった。

 

 

 

2 被告らの結果回避義務・結果回避措置(現実的に回避可能であること)

 

 

・敷地を超える津波の建屋への浸水による全交流電源喪失の危険性に対して,被告国と東電は,①浸水防止設備等の設置,②外部事象の独立性等の要求,③全交流電源喪失に対する代替設備の要求,の3つ対策が必要である。

 

 

・①~③いずれの回避措置も,原子炉施設の設計に携わった元技術者である渡辺敦雄氏の意見書を踏まえれば,2006年までの知見を踏まえて,本件事故前までに技術的にも時間的にも可能であった。

 

 

・被告国の主張は,結局のところ,その工学的観点の根拠は,対策をとるにあたって,人や資金,時間などが限られていて,地震など必要な対策が他にもあり,対策に優先順位を付ける必要があった,津波の対策を優先して取るべきといったような雰囲気は工学者の中では全くなかったから,だから対策を取らなくてよかったのだというものである。

 

 

3 低線量被ばくについて

 

 

・被告国が拠って立つ「現存被ばく状況」という概念が誕生した背景には,チェルノブイリ事故を契機として,「既に起きてしまった放射能汚染は仕方がない」との考え方から,「我慢しながらの居住は可能」という被ばく区分を作り出す必要があった,という事情がある。被ばく線量の基準値とは,元々「誰にとっても容認できるリスク」の上限を定めたものであった。しかし,「現存被ばく状況」とは,それが生み出された背景を見ればわかるとおり「誰にでも容認できるような」被ばく状況という意味ではない。

 

 

・原告らの初期被ばく線量を計算した結果,原告らの実効線量は,国際的に「誰にとっても容認できるリスク」の上限とされる年間1mSvを超過していることが明らかとなった。したがって,原告らにとってそのリスクを容認できない以上,元の居住地から避難する以外の選択はできなかったのであり,その結果,原告らの平穏生活権が侵害されたことは明らかである。

 

 

・被告国は,年間実効線量20mSvを避難指示解除の基準としていますが,当該基準には科学的根拠があるものではなく,政策的に定められた基準に過ぎない。したがって,避難の合理性を画する基準とはなり得ないことは明白である。

 

 

 

4 原告らの被害について

 

 

・本件事故から6年が経過したが,放射性物質による汚染は続き,現在も除染が進んでいない。平成29年3月一杯で,区域外避難者に対する無償提供が打ち切られ,多くの避難者が,今後の生活の見通しも立たず,不安な毎日を送っている。

 

 

・避難者や福島にいる多くの方が,汚染水漏れや冷却作業中の事故等が起こるたびに強い不安を感じている。いつまた放射能の流出が起こるかわからないという状況では,福島に帰ることも困難であり,本件事故は収束していない。

 

 

 

弁護団による1時間以上に亘る意見陳述をした際,傍聴席の方々より,大きな拍手を頂戴しました。

 

 

 

次回,原発被害者集団訴訟第2陣第9回裁判は,平成29年7月27日(木)午後1時半より,今回と同じ千葉地方裁判所601号法廷にて開かれます。

 

 

 

なお,今回の第8回裁判において,原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は,以下の報告集会配布書面をご覧ください。

 

 

 

20170615報告集会配布書面

 

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