原発被害者集団訴訟第2回専門家証人尋問（第16回裁判）のご報告

当弁護団は,18世帯47名の原発被害者（以下「原告」といいます。）の方々の原発事故被害による損害賠償を求めて,東京電力と国を被告とした原発被害者集団訴訟を提起しています。

原発被害者集団訴訟第2回専門家証人尋問（第16回裁判）が，平成27年8月25日（火）午前10時から午前12時，午後1時半から午後4時まで，実施されました。

傍聴席は，前回同様，満席でした。抽選に外れて，傍聴できなかった方も多数見受けられました。

午前の裁判では，被告国と被告東京電力が，元国会事故調査委員である田中三彦氏に対して，反対尋問として，様々な質問をし，田中三彦氏の証言の信用性が揺らぐよう，結果はさておき，試みていました。裁判官は，田中三彦氏に対して，①「被告国が依拠している2002年4月公表‘津波評価技術’を策定した土木学会の手法について，手続面に問題があった」とする田中三彦氏の証言を再確認し，②「原発事故後に実施した柏崎刈羽原発での安全対策を原発事故前にやろうと思えばやれた」とする田中三彦氏の証言について，時間的に可能であった理由等を，尋ねました。

午後の裁判では，被告国と被告東京電力が，政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会元長期評価部会長である島崎邦彦氏に対して，反対尋問として，様々な質問をし，島崎邦彦氏氏の証言の信用性が揺らぐよう，結果はさておき，試みていました。裁判官は，島崎邦彦氏に対して，①2002年7月に公表した長期評価（三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について）作成時に，初めて内閣府の防災担当から圧力を受けたのか否か，②内閣府の防災担当より圧力を受けた原因，等について尋ねました。

次回は，国が，佐竹健治氏（東京大学地震研究所地震火山情報センター長・教授，地震学（巨大地震・津波）が専門）に対して，主尋問を実施します。

第3回専門家証人尋問手続（第17回裁判）は，平成27年10月5日（月）午後1時45分より，千葉地裁201号法廷にて，実施されます。法廷は，前回と異なり，601号法廷ではないので，ご注意ください。

次回も，傍聴席は抽選となりますので，傍聴をご希望の方は，当日午後1時15分に，千葉地方裁判所1階ロビーへお越しください。

なお，第16回裁判において，原告ら・被告東京電力・被告国の主張及び提出した証拠の概要は，下記のとおりです。

記

(1)　当弁護団の証拠の提出

★証拠申出書（佐竹健治教授）の提出　

　裁判所に対して，①「長期評価」に基づき，当時得られていた１８９６年明治三陸地震の波源モデルを用いて推計することで，福島第一原発の敷地高さを超えて原子炉等建屋内に浸水を及ぼす程度の津波の到来について予見可能性を認めることができること，②「津波浸水予測図」に基づいても同様の予見可能性を認めることができること等を立証するために，東京大学地震研究所地震火山情報センター長である佐竹健治教授の話を聞くように，申入れしました。

★証拠の提出

〇提出した主な証拠

　柏崎刈羽原発の安全性に関する総合評価結果報告書（被告東京電力作成），津波予測図（国土庁作成）

★意見書の提出

◯文書送付嘱託に関する意見書

(2)　被告東京電力の主張や証拠の提出

　なし

(3)　被告国の主張や証拠の提出

★証拠の提出

〇提出した主な証拠

　新潟県中越沖地震を踏まえた原子力発電所等の耐震安全評価に反映すべき事項について（経済産業省原子力安全・保安院作成），中央防災会議議事録，地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価部会議事概要